前略、さよなら


次の日
いつものように陽と一緒に学校に行った。


上靴に履き替えて
廊下を歩いていたところ

「本当に昨日の千代はないわ」
「だよね!!」
「あれはやばい」

どっ、と空き教室から
笑い声が起こる。


梨花と琴葉と星華の高い声を
私は確かに聞き取ってしまい
硬直する。


脳がフリーズする。


「星華が陽くん好きなのわかってて
あんなことするのはさすがにひどい」

琴葉の声色は楽しそうだった。


あんなことって
テンカの時陽に守ってもらってた
ことかな。


私は昨日の自分を後悔した。

気をつけていたのに。


そしてなにより

「千代・・・」

陽に聞かれてしまったことが
1番悲しくて恥ずかしい。

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