前略、さよなら
私の足はこれ以上進もうとしなかった。
踵が上がりかけた右足は
まるで時が止まってしまったみたいに
微動だにしない。
ギシギシと軋む胸が
窄んだままの心臓が
痛い。
キリキリと何かに
締め付けられるような痛み。
痛みには慣れたと思っていた。
でもこの精神の痛みには困った。
____ガラガラ・・・
最悪だ。
空き教室から出てきた
梨花達と目が合った。
私は呑気にも
あの3人の気分は
どんな感じだろうかと考えた。
あっちも最悪だと思っているだろう。
なんせ、こっちには陽がいる。
「おぉ、千代じゃん。
おはよう」
梨花が慌てて挨拶した。
「おはよう」