僕は彼女の名前をまだ知らない
すると彼女は眉毛をハの字にして、困ったように笑って...
それから、明るく笑った。

「いいよ!」

僕は崩れ落ちそうになる膝をなんとか真っ直ぐにして言った。
「あ、 ありがとう 。」







それから僕達は、オセロをして将棋をしてゲームをして
しゃべってしゃべってしゃべって。

気づけば18時。そろそろ親が帰ってくる時間だった。
それを察したのか、彼女は帰っていった。

さっきのように引き留めたりはしなかった。

ただ、いつか会うための約束をしなかったのが心残りだ。



それでも、もう僕には勇気が残ってないから、ちょうど良かった。
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