僕は彼女の名前をまだ知らない
「んで、誰とこれ買いに行ったの?」

自分でも、肩がビクッと震えたのがわかる。


「一人だけど。」
「ふーん...一人で、ね?」

お母さん、ごめんなさい。
別に彼女のことを隠したいわけではないと言えばないんだけど...

いざ、彼女のことを話すとなると...ねー?

やっぱり、彼女は恋人として紹介したいっていうか...


そんな自分の妄想に恥ずかしくなっていた時


―――――――今度彼女連れて来てよ
という声が聞こえた。


「いやいやいや、一人で買いに行ったし!」

「で、どっちから告白したの?」
お母さんは僕の言葉に聞く気を持たない。


「だから、恋人じゃないし。まだ...」

「ふーん。女の子と買いに行ったんだ。」


バレた。
これ以上、ここにいると、必ず恥ずかしい目に合うと悟ったので、僕は、ニタニタしているお母さんを横目に見ながら、寝室へ行った。
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