僕は彼女の名前をまだ知らない
餅って、そのままだと味気ないよね?
だけど、何つけてたっけ?

「ねえ、何かつけるものあるの?」
僕は、カバンから何かのタッパを取り出している彼女に聞いた。

「あっ!私きな粉とあんこ持ってきたんだけど、砂糖と醤油ある?砂糖醤油作りたいから。」

そうだった。砂糖醤油。砂糖醤油砂糖醤油砂糖醤油。


「冷蔵庫にあるよ。」

そう言って、僕は砂糖と醤油を彼女に手渡した。


砂糖醤油砂糖醤油砂糖醤油。

僕は、頭を砂糖醤油に侵食されながら、膨らんでいく餅をみつめていた。
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