もう一度、君の手にくちづけを。
僕ら王族の人間は、基本衣類を干すなんてことはしない。
城に何百人の召使いがいて、身の回りの世話はすべてやってくれる。
そう、何不自由ない生活。
それに僕は最近嫌気がさして、飽き飽きとしていた。
だから城下へ出たのにな…。
結局今日も面白いことなどないまま、泣く泣く城へ帰ることになりそうだ。
「それにしても意外ですわ、王子も洗濯物を干したりするのね」
「てっきり優雅に紅茶でも飲みながら、行政の勉学に励んでいるとばかり」
「まあ、私も気分転換などしたくなる時があるのですよ」
「人間らしさも忘れないなんて…本当に王族とは思えない素晴らしい方」