もう一度、君の手にくちづけを。

「いやいや!僕がディナーの話をしてしまったので!」

そうフォローはしたが、なんだか気まずくなってしまった。

「………由依さんは、この後は?」

とりあえず沈黙が息苦しくて、何か喋らないとって思った。

「私は、特になにも」

少し困ったように笑ったから、彼女にも何か事情があるのだろうか。

「そうですか。なら、このあと食事でもいかがですか?」
「え?」
「このままキャンセルするには惜しい、人気のレストランなんです」
「でも……」
「10代最後のクリスマス、こんなあっけなく終わらせたくないんです。だから、僕のために、人助けだと思ってついてきてくれませんか」

周りから見れば僕はただのナンパ野郎だ。
でも口から出てきた言葉は本心だった。

ちょっとやけだったかも。思わず必死になってしまったのが恥ずかしくなってしまうほど。

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