もう一度、君の手にくちづけを。
「えと……では、一緒に行っていいですか、ディナー」
そう言われて、僕はつい先程離した手を取ってしまった。
「ありがとうございます!」
両手でがっしりと由依さんの右手をとってしまったので、いきなりのことに彼女は驚いていた。
「あ、すみません、嬉しくて、つい…」
僕は手をそっと離して。
「では…行きましょうか。きっと美味しいですよ」
僕はレストランの方向へと体を向けた。
「まあ、それは楽しみですね!」
僕のとなりをぱたぱたとついてくる由依さん。
━━━こうして、僕らは知り合った。
特に話しかけた理由も、話しかけられた理由もないけれど。
僕は少し、こんなに可愛い子の隣を歩けることに浮かれていた。
そう、これは僕らのはじまりの話。