True Heart
「何これ…?」

出した手を指差して聞いてきたゆかりに、
「この間借りた2万円返して!」

私は答えた。

「いや…そ、そんな急に言われても困るよ…。

お姉ちゃんのドレスを買うために使っちゃって、もうお金が…」

「はあっ!?」

思わず強い口調で聞き返した私に、
「も、もうすぐ給料日だから、その時にちゃんと返すから!

今日のところは見逃して、お願い!」

ゆかりは顔の前で両手をあわせると言った。

「あんた、この間もそう言って…」

「本当に返すから!

給料日がきたら返すから、今日は見逃して!」

ペコペコと頭を下げているゆかりに、
「その言葉、しっかり聞いたからね?

忘れてたら承知しないから」

私は言い返した。

 * * *
< 14 / 78 >

この作品をシェア

pagetop