True Heart
そして、ゆかりに婚活パーティーの会場である『東京カントリーホテル』の高級ホテルに連行されて、今に至る…と言う訳である。

もう本当に帰りたい…。

今頃はお風呂に入って、ビール片手に録りためていたバラエティー番組を見ている時間だ。

そう思っていたら、
「退屈そうだな」

目の前の男が声をかけてきた。

おおっ…と、私は声をあげそうになった。

ゆるくウェーブがかかった黒髪に二重の三白眼がとても涼しげだ。

唇は上下共に均一な厚さで、顔立ちはとても端正に整っているなと思った。

座っているから身長はよくわからないけれど、高い方なのだと言うことは確かだ。

ストライプの模様が入った紺色のスーツを着こなしているその姿に、彼は私と違ってこの場に溶け込んでいるなと思った。
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