True Heart
「何て言われてって…」

私はその当時のセリフを振り返ると、
「また話がしたい、って…」
と、答えた。

私の聞き間違いじゃなかったら、二ノ宮さんはそう言ったはずだ。

「ほら、やっぱり！」

ゆかりはパンと両手をたたいた。

「何が？」

何が“やっぱり”なのか意味がわからない。

「その人はお姉ちゃんがいいと思ったから名刺を渡したんだよ！

お姉ちゃんにまた会いたい、お姉ちゃんのことがもっと知りたいと思ったから名刺を渡したんだよ！」

興奮気味なゆかりを私は冷めた目で見つめることしかできなかった。

「ねえ、今すぐに電話しなよ！」

「はあっ、何で！？」

思わず聞き返した私に、
「せっかくのチャンスを棒に振るのはよくないよ！

今すぐに相手に電話しようよ！」

ゆかりはそう言って私のカバンに手を伸ばそうとした。
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