True Heart
意外だと思った。

コーヒーが好きそうなイメージがあったから、とても意外だった。

「あの、ソイラテのお金っていくらでしたか?」

私はカバンから財布を取り出した。

「えっ、お金?」

何のことだと言うように聞き返した二ノ宮さんに、
「私の分を払わせてしまったので…」

呟くように言った私に、二ノ宮さんは首を横に振った。

「ああ、別にいいから。

そんなにたいした金額じゃなかったから返さなくていいよ」

二ノ宮さんは笑いながら手を横に振った。

「えっ、けど…」

「俺がしたかったから」

そう言った二ノ宮さんに、
「それじゃあ、ごちそうさまでした」

私はお礼を言った。

いいんだ、どうせ今日だけなんだ。

これが最初で最後だから気にする必要はない。

少ないけれど、お金が浮いたといい方向に考えよう。
< 34 / 78 >

この作品をシェア

pagetop