True Heart
「騙すつもりはなかったって言ってものすごい謝られて、逃げられた」

「…振られたって言う訳じゃないよな?」

「そうだと思いたいけど…でも、逃げられた」

俺は息を吐くと、水を口に含んだ。

「追いかけたのか?」

凱の質問に、俺は首を横に振った。

「何が何だかよくわからなくて、騙すつもりはなかったって謝られても何がどう言うことなんだって言う話だし…」

「要するに、理由を聞くことができなかったんだな」

そう言った凱に、
「理由が聞けたらこうなってない」

俺は言い返した。

「彼女の連絡先はわかってるんだよな?」

「アドレス交換したし、SNSのアカウントも教えてもらった」

「じゃあ、連絡すればいいんじゃないか?

謝られた理由がわからないって言って、彼女に連絡すればいいじゃないか」

凱は言った。
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