しあわせ食堂の異世界ご飯3
1 一瞬で笑顔の咲くわたあめ
ジェーロ帝国は、冬になると数十センチの雪が積もる。
 子供たちが雪にはしゃぎ駆け回り、街の中ではたくさんの雪だるまや雪うさぎが姿を現わす。寒いけれど、アリアはそれを見ながら通りを歩くのが大好きだ。
「見て見て、うさぎ作ったよ~!」
「あら、上手にできたわね」
 親子の会話にほっこりしながら向かう先は、食材を仕入れるために利用している市場だ。
 アリアの働く『しあわせ食堂』の食材の仕入れと、個人的にいい食材があれば購入をする予定になっている。
 市場までは、しあわせ食堂から歩いて十分ほど。今は冬ということもあり、お店の数がいつもより少ないけれど、人々の笑い声がして活気があることが伺える。
「何かいい食材があるといいなぁ」
< 1 / 201 >

この作品をシェア

pagetop