しあわせ食堂の異世界ご飯3
「そうですね……」
 この王女様に、いったいどんな料理を振る舞えばいいだろうかとアリアは悩む。
 前回は麻婆豆腐を作って喜んでもらったが、今日は材料もないし同じ料理を出すというのも少し憚られる。
(でも、今日はあんまり食材がないんだよね……)
 アリアがいろいろ料理を試作したりしているときは食材も豊富に用意してあるが、残念ながら今日はお店で使う分しかないのだ。
 そうなると、作れる料理の種類はぐっと狭まる。
 というか。
(新しく料理を作るのは難しい……なら)
 いちから新しい料理を作る必要はない。
「せっかくですから、ローズマリー様にぴったりのカレーをお出しします」
「カレー? このお店の看板メニューね。わたくしも食べてみたいと思っていたから、楽しみだわ」
 にこにこ笑顔で席に着いたローズマリーに会釈をして、アリアは急いで調理のために厨房へ戻った。
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