しあわせ食堂の異世界ご飯3
ちらりと店内を見ると、シャルルがローズマリーに紅茶を出してくれている。
 本来であればお客さんには水を出すのだが、さすがにローズマリー相手に同じものを出すわけにはいかない。
 アリアはナイス!と、心の中でシャルルに賞賛を送る。

 カミルはアリアが対応してくれると聞いたからか、先ほどより落ち着いた感じで話を続けてきた。
「でも食材はほとんどないぞ? それなのに、いったい何を作るつもりなんだ?」
「新しい料理は、何も作らないよ」
「え?」
 厨房を見渡しながら告げるカミルに、アリアはさらっと答える。
 もちろんカミルはとても驚いて、「お貴族様だぞ?」と不安そうな表情を見せた。不敬を買って、何かあったらどうするのだと心配してくれているのだ。
「別に、カレーをこのまま出すわけじゃないから大丈夫だよ」
「そうなのか?」
「さすがに私だってそんな思い切ったことはしないよ」
< 102 / 201 >

この作品をシェア

pagetop