しあわせ食堂の異世界ご飯3
いつものカレーにバターを使ってまろやかさを出し、鶏肉を少し追加する。
 しかしあまり重くなってしまっては女性であるローズマリーには辛いだろうから、具材の比率としては肉より野菜を多目にバランスを整えていく。
 たくさんの種類を楽しんでもらいたいので、ニンジン、ナス、ほうれん草、トマト、かぼちゃを入れた。
 煮込んでいる間に、ナン作りに取りかかる。
 生地を形作ってフライパンで焼けばできあがりなのだけれど、せっかくなのでここに一工夫を加えてから焼きの工程へ。
 すぐに厨房は、美味しいカレーの匂いが充満する。
 辛さを調整したカレーをアリアが味見すると、舐めた瞬間硬直する。鼻から香りを吸い込んだだけでも、かなりのスパイスが襲ってくるのだ。
 ただ辛いというだけではなく、下手をしたら痛いという領域にいってしまうのでは?と、思ってしまうほどだ。
 しかしそれだけではなく、体の奥底から登るような熱さがたまらない。
(とてもじゃないけど、ローズマリー様以外には食べさせられないね)
 カミルが食べたりしたら、火を吹いてしまうんじゃないだろうか。そう考えると少し笑ってしまうけれど、いたずらに差し出していい料理ではない。
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