しあわせ食堂の異世界ご飯3
(あ、でも……もしかしたら気づいてないだけで、実は激辛好きっていう可能性もあるよね)
 それなら、食べてもらうというのもありだろうか?
 アリアは厨房の隅でこちらを見ているカミルとエマを見た。
「ん? 何か手伝うか?」
 すぐに反応したカミルがアリアの下にやってきて、任せろと言わんばかりに腕まくりをしてみせる。
 しかし残念ながら、調理自体はもう終わってしまった。
「ありがとう。あとは盛りつけるだけだから問題はないんだけど……カミルやエマさんは辛いものも食べられるのかな? って思って」
「辛いものって……そのカレーか? 確かに、いつも食べてるやつに比べると色が違うな」
 カミルは赤の深みが濃いカレーを興味深そうに見て、その香りを吸い込んで――むせた。
「げほっ、こほ……っ」
 顔を横に背けて、袖口に口元を当てて無理という意思表示か首を横に振る。どうやら、激辛料理は得意ではなさそうだ。
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