しあわせ食堂の異世界ご飯3
すぐ作業に取り掛かろうとしたアリアがリントを見ると、ローレンツと何やら話をしている最中だった。
(もしかして、時間だったりするのかな?)
 皇帝ということもあり、リントのスケジュールは過密だ。食事時ならまだしも、彼がこうやって時間をとることはなかなか難しいのだ。
 リントはアリアを見て、申し訳なさそうに口を開く。
「すまない、少し急ぎの要件があって行かなければいかなくなった」
「まだリズちゃんのお父さんも見つかっていないのに、すみません」
 ローレンツもリズの父親を一緒に捜したいと思っていてくれたようで、心配そうにリズを見た。
「いえ。お仕事なら仕方がないです。リズちゃんのお父さんは、私たちが責任を持て見つけてみせますよ。リントさん、ローレンツさん、お忙しい中ありがとうございました!」
 アリアがお礼を言うと、リントとローレンツは首を振る。
「大したことはしていないから、気にするな。ただ、そのわたあめを食べられなかったのは残念だな」
「そうですね。また次の機会があったときは、ぜひ私たちにも振舞っていただけると嬉しいです」
「もちろんです。ふたりに食べてもらえるように材料は準備しておきますね!」
「楽しみだな」
 リントがいなければ食べられないので、シャルルとカミルはふたりが帰ることにショックを受けていた。
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