しあわせ食堂の異世界ご飯3
「パパとはぐれて泣いてたら、お姉ちゃんたちがパパを捜してくれるって言ってくれたの。それから、すごく甘くて、ふわふわしたお菓子をもらったの!」
「ふわふわ……?」
 リズの父親は不思議そうにしつつも、アリアたちの下へやってきて頭を下げた。
「娘を保護していただき感謝します。ありがとう」
「ありがとうございます」
 父親と一緒になって、リズもぺこりと頭を下げる。その仕草がなんだか可愛くて、アリアは微笑む。
「いいえ、気になさらないでください。さぞ心配でしたでしょう?」
「ええ。リズがいなくて、もう気が気ではありませんでした。本当に、感謝をしても仕切れないほど……ああ、すみません。まだ名乗ってもいませんでしたね。私はライナスといいます」
「ご丁寧にありがとうございます。私はアリアといいます」
「カミルです」
「シャルルと申します」
 全員が挨拶をすると、ライナスはもう一度お礼を言ってくれた。
 本当にリズのことが大切で、心配していたのだろう。真冬だというのにしっとり汗が浮かんでいて、必死で捜していたのだろうということがわかる。

 リズの父親のライナス。
 金髪碧眼のすらりとした体型で、髪は襟足が少し長い。上品なスーツを着ているので、おそらく裕福な商人か何かだろう。
 優しい笑顔をリズに向けているので、家族思いのいい人だということがわかる。


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