しあわせ食堂の異世界ご飯3
「かなり時間が経ってしまったから、もう帰ろうかリズ」
「! でも、アリアお姉ちゃんと一緒にいたい」
「リズはレディなのだから、そう我が儘を言ってはいけないよ」
 ライナスがそう告げると、リズはハッとした表情になって手で口元を押さえた。
「降ります! レディだから、自分で歩けます」
「そうか。リズは立派だな」
「はい!」
 どうやらリズは、自分の言動が子供っぽかったことを気にしてしまったらしい。
 別にアリアたちはそんなことを気にはしないのだけれど、ちょうど背伸びをしたい年頃なのだろうと微笑ましく見守る。
 ライナスに抱っこされていたリズは地面に下ろしてもらい、アリアたちのところまでやってきた。
 レースのついた可愛らしいワンピースの裾をつまんで、リズはたどたどしくも礼をしてみせた。
「アリアお姉さま、カミルお兄さま、シャルルお姉さま、助けていただきありがとうございました。わたあめも、とっても美味しかったです」
「わあ、リズちゃんはご挨拶が上手だね。ありがとう、私もリズちゃんと仲良くなれて嬉しかったです」
 アリアが挨拶を返すと、リズは満足そうに微笑む。
 その後ろではライナスが、「さすがは私の娘、とても可愛い」と感動して打ちひしがれている。どうやら、かなり親ばかの部類に入りそうだ。
 カミルはリズの物言いに照れてしまったようで、頬をかいている。
< 31 / 201 >

この作品をシェア

pagetop