しあわせ食堂の異世界ご飯３
しかし残念ながら、リントが食べたいじゃこの梅おにぎりを作るには材料が足りないし、アリアも手に入れることができないと言っていた。
　ただ、故郷に帰れば入手は可能だとも言っていたけれど。
（どうにかして、材料をジェーロで調達できたらいいんだが）
　いかんせんアリアの料理は見たことのないものが多いので、そう簡単に真似をしたりできるものではない。
「でも確か、材料として使っていた『じゃこ』は魚の稚魚だと言っていたな」
　それなら海に面しているジェーロでも手に入れることができるのではないだろうかと、リベルトは考える。
　手に入れてアリアに贈ったら、きっと喜んでもらえるだろう。
　リベルトが思案していると、ノックの音が響く。入室の許可を出すと、顔を見せたのはローレンツだ。
　その手には、軽食が用意されている。
「神妙な顔をして、いったい何を考えているんです？」
「ローレンツか。……いや、じゃこの入ったおにぎりを食べたいなと思ったんだ」
「ああ、アリア様が作ってくださったものですね」
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