しあわせ食堂の異世界ご飯３

確かにあれは美味しかったと、ローレンツも同意する。
「しかし、じゃこの材料の稚魚を入手できないと無理ではありませんか？　ジェーロでは取り扱っていませんよ」
「わかっている。だから、どうにかしてその環境を用意できないものかと思ったんだが……」
「なるほど」
　食に興味のなかった主人が自分から動こうとしているのはいい傾向だと、ローレンツは思う。
　アリアの話を聞く限りでは、じゃこは日持ちする食材だ。栄養もたっぷり含んでいるということだったので、ジェーロで生産できるようになれば食文化も発展するだろう。
　考え込むローレンツに、リベルトは「何か問題が？」と問う。
「いいえ。それどころか、名案だと思いますよ。明日の朝、話を聞くために漁師を訪れましょう。ちょうど港町へ行く案件がひとつあってよかった」
「そうか」
「私はじゃこの件も含め、もろもろ手配しておきます。リベルト様も、今日は早くお休みくださいね」