しあわせ食堂の異世界ご飯3
寒い外とは対照的に、室内は人がいるということもあって暖かい。
 テーブルで椅子に腰掛けて料理を待っているのは、しらすを持ち込んだリントとローレンツ。店内の掃除をしていたシャルルに、ちょうど市場から帰ってきたカミルの四人。
 新しいアリアの料理を食べられるということもあって、四人ともがそわそわしている。
「おまたせしましたー!」
「ほらほら、たくさん食べな。作ったのはアリアちゃんだけどね」
 アリアとエマがトレイに載せて持ってきたのは、梅干しを添えた贅沢しらす丼、しらすじゃこのおにぎり、大根のお味噌汁だ。
「わああぁぁ、美味しそう!」
 まっさきにシャルルが声をあげて、アリアの料理を食べる前から絶賛する。美味しいことは彼女の中で確定事項なので、どんな味か楽しみで仕方がないのだ。
「リントさん、これがしらす丼です。おにぎりは、しらすをじゃこにしてみましたよ」
「美味しそうだ」
 さっそく丼を手に持って、リントが食べようとして――しらす丼のトッピングに気づく。
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