しあわせ食堂の異世界ご飯３

「……？　こんにちは。わたし、リズ」
「リズちゃんだね。泣いてたから、心配で声をかけちゃったんだ」
　驚かせないように、極力ゆっくり話す。

　アリアの優しい声を聞いて、女の子――リズは顔を上げた。
　くるりとした髪は肩下くらいの長さで、美しい金髪だ。両サイドに小さなお団子を作って、パールのアクセサリーでとめている。
　水色の瞳は涙をいっぱいためているが、頑張って泣き止もうとしているようだ。
　可愛いぽんぽんリボンの付いたピンク色のポンチョは上品で、もしかしたら裕福な商人の娘さんかもしれないとアリアたちは思った。

　シャルルがハンカチを取り出して、リズの目元を拭ってあげる。
「可愛い顔が台無しだよ。ほら、笑顔えがお～！」
「ありがとう、えっと……」
「私はシャルルだよ。よろしくね、リズちゃん」
「俺はカミルだ。大人とはぐれちゃったのか？」