しあわせ食堂の異世界ご飯３
リズが目を潤ませて懇願し、それを親方が後押ししてくる。勝手なことを言うなと文句を言いたいけれど、理由もなしにリズに駄目だというのも可哀想だ。
　ということで、ひとまず保留にしておくことにした。
（まあ、教えてあげたい気持ちはすごくあるんだけどね）
　これからもリズは頻繁に訪ねて来そうなので、ちゃんと考えなければいけないなとアリアは改めて思った。

　話していると、厨房からカミルが顔を覗かせた。
「アリア、そろそろ出せるぞ！　新メニュー」
「そうだった！　すぐ準備しますから待っててくださいね、親方、マイクさん」
　アリアは一旦厨房に戻って、深皿に昨日の夜から仕込んでおいた料理をよそっていく。
　黄金色のスープに、数種類の具材。たっぷり味が染み込んで、全体が輝いているかのようだ。
　ほかほかと立ち上る湯気と一緒に、食欲をそそる香りが届く。
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