しあわせ食堂の異世界ご飯3
ぐにっとする少し変わった弾力に、思わず「おっ?」と声をあげる。それはがんもどきを食べようとしていたマイクも同じだったようで、楽しそうだ。
「ちなみに、マイクさんが食べようとしているのは魚じゃなくてお豆腐ですよ」
「え、豆腐? いやいや、だってあれは白い食べ物だろう?」
「豆腐!?」
 アリアが材料を告げると、マイクだけではなくカミルも一緒に驚いた。どうやら見た目の食感が似ていたため、がんもどきも魚から作ったと思っていたようだ。
「さあ、食べてみてください!」
「いただきます!」
 アリアの声を合図にして、マイクと親方がおでんにかぶりついた。
 途端に、ふたりの口内におでんの濃厚な汁が広がる。
 がんもどきだけではなく、旨味の中には一緒に煮込まれた玉子、ジャガイモ、大根の栄養もぎゅっと詰まっているのだ。
 それが美味しくないわけがない。
「んんん~~っ!」
「はふっ! 噛んだときの弾力がある歯ごたえがたまらないぞ!」
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