しあわせ食堂の異世界ご飯３

食事を楽しんでいたお客さんたちは、例のごとく不敬をしてはいけないと、慌てて食べ終えて去っていってしまった。
　しあわせ食堂の店内にいるのは、アリア、シャルル、カミル、エマ、ローズマリーの五人と護衛の騎士のみ。
「わたくしの料理を気に入ってくださったことは、とても嬉しく思います。ですが、いきなりローズマリー様がいらっしゃるとみんなが驚いてしまいます」
「そうかしら？」
「高貴な方に慣れていませんから」
　そう言って苦笑するアリアに、ローズマリーは楽しそうに目を細める。
　アリア自身が高貴な身の上であるのに、面白いことを言うものだ……と。
　もちろんアリアが身分を隠してしあわせ食堂にいることは知っているけれど、実際に目をするとやはり不思議だなとローズマリーは思うのだ。
　王城にいれば、働くこともせず不自由なく暮らせるというのに。
　とはいえ、そんなアリアだからこそローズマリーは目をつけたのだ。
「アリア様、本日はどのようなメニューがありますの？」