剣に願いを、掌に口づけを―最高位の上官による揺るぎない恋着―
「もう休みますから」
弱々しく答えると、ルディガーはセシリアの正面ではなく右隣のスペースに座ってきた。なので、彼を追う形でセシリアの視線も自然と横に向けられる。
「それもある。でも、責めているんじゃないかと思ってね」
「なにをです?」
すかさず尋ね返すと、ルディガーがセシリアをじっと見つめる。互いの目線が交差し、ルディガーはゆっくりと口を開いた。
「ディアナ嬢が亡くなったことを」
ほんの刹那、ふたりの間に沈黙が走る。正確にはセシリアがとっさに返せなかったからだ。奥歯をぎゅっと噛み、一拍遅れてからセシリアは冷静に聞いた。
「なぜです? 私は彼女と直接知り合いではありませんが」
「でも、生きているときの彼女を知っている。彼女がアスモデウスに接触した情報も掴んでいた。なのに、なにもできなかったってね」
淀みない言い分にセシリアは眉をひそめた。とはいえまったく違うと反論もできない。なので別の角度から返してみる。
「やけにはっきりと言いきりますね」
セシリアの声はいつもより低く冷たい。しかしルディガーはものともしない。
「言い切るよ。セシリアのことを、ずっと傍で見てきたんだ」
きっぱりと告げられ、セシリアの心は今度こそかき乱された。彼が言っているのは上官としてだ。そしてルディガーの言い分はそれなりに的を射ていた。
弱々しく答えると、ルディガーはセシリアの正面ではなく右隣のスペースに座ってきた。なので、彼を追う形でセシリアの視線も自然と横に向けられる。
「それもある。でも、責めているんじゃないかと思ってね」
「なにをです?」
すかさず尋ね返すと、ルディガーがセシリアをじっと見つめる。互いの目線が交差し、ルディガーはゆっくりと口を開いた。
「ディアナ嬢が亡くなったことを」
ほんの刹那、ふたりの間に沈黙が走る。正確にはセシリアがとっさに返せなかったからだ。奥歯をぎゅっと噛み、一拍遅れてからセシリアは冷静に聞いた。
「なぜです? 私は彼女と直接知り合いではありませんが」
「でも、生きているときの彼女を知っている。彼女がアスモデウスに接触した情報も掴んでいた。なのに、なにもできなかったってね」
淀みない言い分にセシリアは眉をひそめた。とはいえまったく違うと反論もできない。なので別の角度から返してみる。
「やけにはっきりと言いきりますね」
セシリアの声はいつもより低く冷たい。しかしルディガーはものともしない。
「言い切るよ。セシリアのことを、ずっと傍で見てきたんだ」
きっぱりと告げられ、セシリアの心は今度こそかき乱された。彼が言っているのは上官としてだ。そしてルディガーの言い分はそれなりに的を射ていた。