剣に願いを、掌に口づけを―最高位の上官による揺るぎない恋着―
「にしても、セドリックは相手にうるさいだろうな。なんせこんなにも妹を可愛がってるんだ」
「……ルディガーも?」
尋ねるとルディガーは虚をつかれた顔になり、続いて穏やかに目を細めた。
「そうかもしれない。シリーは俺にとっても妹同然の大切な存在だから」
「私はあなたの妹じゃない!」
そういうことを聞きたかったんじゃない! 内心で反論するも口から出たのは違う言葉だ。案の定、額面通りに受け取ったルディガーは戸惑っている。
「わかってるよ。でも、それくらい君が……」
「もういいわ」
セシリアは声を上げて続きを拒絶する。こうして感情をすぐに剥き出しにするのが子どもなんだと頭では理解しているのに、賢く心の奥にしまっておけない。
「剣の練習に付き合ってくれてありがとう。でも結婚するなら、私よりあなたが先でしょ!」
言い捨ててセシリアはルディガーに背を向ける。言い方もそう言った自分の顔もきっと可愛くない。剣の才もあって、優しくて。自分よりもずっと強く、父も一目置いている。
そんな存在が幼い頃からそばにいれば、おのずと心惹かれてしまうのは無理もない。一人前にセシリアはルディガーに恋をしていた。
ところが、ルディガーにとって自分はいつまでも『親友の妹』であり『妹同然』の存在だ。
それでもいいと思っていたのに、兄からルディガーに婚約者がいるという話を聞いたときはショックで食事が喉を通らなかった。しばらく塞ぎこんだ。
なんでも親同士が知り合いで身分も家も近いらしくまとまった話だと。
「……ルディガーも?」
尋ねるとルディガーは虚をつかれた顔になり、続いて穏やかに目を細めた。
「そうかもしれない。シリーは俺にとっても妹同然の大切な存在だから」
「私はあなたの妹じゃない!」
そういうことを聞きたかったんじゃない! 内心で反論するも口から出たのは違う言葉だ。案の定、額面通りに受け取ったルディガーは戸惑っている。
「わかってるよ。でも、それくらい君が……」
「もういいわ」
セシリアは声を上げて続きを拒絶する。こうして感情をすぐに剥き出しにするのが子どもなんだと頭では理解しているのに、賢く心の奥にしまっておけない。
「剣の練習に付き合ってくれてありがとう。でも結婚するなら、私よりあなたが先でしょ!」
言い捨ててセシリアはルディガーに背を向ける。言い方もそう言った自分の顔もきっと可愛くない。剣の才もあって、優しくて。自分よりもずっと強く、父も一目置いている。
そんな存在が幼い頃からそばにいれば、おのずと心惹かれてしまうのは無理もない。一人前にセシリアはルディガーに恋をしていた。
ところが、ルディガーにとって自分はいつまでも『親友の妹』であり『妹同然』の存在だ。
それでもいいと思っていたのに、兄からルディガーに婚約者がいるという話を聞いたときはショックで食事が喉を通らなかった。しばらく塞ぎこんだ。
なんでも親同士が知り合いで身分も家も近いらしくまとまった話だと。