赤髪とホットミルクと。
side 安












20時を回った頃、ようやく今日の勤務時間が終了となった。











「彩日に勘違いさせるようなことしてないだろうな」




「ん、多分」



「多分って…………」










自分でも無意識のうちに

3年前の″あの人″を思い出して
勝手に体が動いていた。




厨房に居ても彩日って子の声はよく聞こえてきて

どことなくあの人と似てて





特に

誰にも頼らずひょうひょうと生きている感じが
どうしようもなくあの頃のあの人と重なった。











「まさかと思うけど……″ミサキ″さんの件まだ引きずってんの?」



「なわけ、」








否定出来なかった。

実際にさっきあの子を重ねていたから。








俺の様子を見兼ねた太陽が厨房に入ってきて


近くのパイプ椅子に腰掛けた。





「あれはお前は悪くない。ミサキさんも悪くないし、そもそもお前は関係ない話だろ」



「そうだけど、でも」







歯切れの悪い俺の返事に

太陽ははぁ、と息を吐くとエプロンを脱ぎながら

顔を近づけて来る



「どっちでもいいけど、彩日に期待だけはさせるなよ割とお前カッコイイんだから。」





「…………俺こーゆうのシュミじゃない」




「いや、ちげえ!!!そういうことじゃない!!!」











もーわかれよ!!!とかなんとかギャンギャンうるさい太陽は置いて私物をまとめると店を出る。








分かってるよ俺だって。








″安、私行ってもいいの?″


″俺には関係ないじゃん、行けば″





″もう!ほんとに行くよ??いいのね?″







………………やめろ、もう許してよ。







過去の自分の無力さを一刻も早く記憶から消して

前に進めるように



車を勢いよく発進させた。

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