赤髪とホットミルクと。
……… どうしよう、めちゃめちゃカッコイイんですけど。







「、ハッ!あ、ありがとうございます!!」



ついついその人の顔に見入ってしまって返事が少し遅れてしまった。




それを一瞬だけ不思議そうにキョトンとすると
すぐにまたさっきのように微笑んで



「ごゆっくりどうぞ」
と言い残しまた厨房の中へと戻って行った。
















……………………… ナニアレ!!!


かっこよすぎたんですが!?

おそらく衆太に出会った時以来、いやそれ以上のトキメキが胸を覆っている。






「お嬢さん、アイツに惚れたか?」


一部始終を見ていたマスターが面白そうに目を細めて聞いてきたから


「えぇぇ?!いえ違いますよ!そんなわけないじゃないですか!!」
と照れを隠すかのようにホットミルクを一口啜った。



「っアッツ!!」

「ふぉっふぉっ、わかりやすいですなあ」


「………違いますよほんとに、かっこいいだけです」








おじいさんなのになかなか鋭いから焦ってしまう。








え?焦ってしまう?

………………何に対して焦ってんの私。






せっかく落ち着こうと思って入ったのにまた心がザワついてきた。



またその感情に気付いてしまわないようにと
蓋をするように少しぬるくなったホットミルクを流し込む。




コレは病みつきになりそうな味がした、

多分ただのミルクなんだけどやけにまろやかに甘く感じられて甘ければ甘いものほど口に合う私にはピッタリだ。







無意識のうちにマグカップは空になっていて、
ちょっぴり寂しい気分になる。







…………………もう帰ろ。

チラッと外を見ると割と暗くなってるみたいだし、
ここにいすぎても余計なことになりそうだ。








「すみません、お会計をお願いします」






いつの間にかカウンターには誰もいなくて

店の奥にまで聞こえるように少し大きめに呼ぶと








「はい、こちらで承ります」




「あ………」










出てきたのはマスターさんではなく、

ホットミルクを作ってくれたあの赤髪のお兄さんだった。










「380円になります」

「あ、はい」






お金を渡すとき少し彼の指に触れてしまって、また胸がぎゅっとなった。

レジを打つ指先までもが綺麗でなんだか作り物みたいだ。








会計も終わり、外に出ようとドアノブに手をかけたとき、「お客さん」と呼び止められた。


すかさずくるっと振り向くとまたあの彼で



だけどさっきまで着けていたエプロンはしていなかった。


















「よかったら帰りご一緒しませんか」






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