赤髪とホットミルクと。
とても甘い匂いがしたような気がして目を開けた。











「わぁぁっ!!!」



「ちょ、どうしたの」









目開けていきなりの赤髪イケメンはさすがに慣れないけど徐々に今の状況を思い出して落ち着くことが出来た。









「あ、もう着きました?」


「うん、気持ちよさそうに寝てたから起こせなかった。ごめん」





ぬあああああああ、イケメンに寝顔を見られてしまったあああ……






しかも彼の時間を随分使わせてしまっているというダブルコンボでますます申し訳なくなる。











「今日はわざわざありがとうございました!!またお礼しに行きますので!」




とりあえず車から降りて頭を下げまくる。








「お礼とかいいから、普通においで」




だいぶ耐久性がついてきた彼の笑顔を見ているとハッと忘れていたことを思い出す。








「…んあ!!!ドラマ録り忘れた、、」



「え??」




「あ、いや、なんでも………」









やっぱりあざといキョトンとした顔をすると



「じゃあ、また」

と言って車に乗り込んだ。









きっとあっちは見えてないだろうけど彼の車が自分に見えている範囲までは手を振り続けた。

















さて帰ろう、と自宅のマンションに足を向けたとき









「誰、今の」



「え、なんで…………衆太」














彼女と帰るとかほざいていたバカ衆太が駐車場の入口の門に寄りかかって立っていた。




気のせいかもしれないけど

いつもはしっかり左右に分けてふんわりとセットされているはずの髪が今は

だいぶ冷えてきたのに若干の汗を帯びてしなっと崩れている。





「誰って……んー誰だろ」


「はあ?意味わかんね」






いやいやなんであんたがここにいるのかが意味わかんねえでしょ!!

と言いたくなったが荒ぶってはいけないいけない…





「関係ないじゃん、大体なんでいるの」




そうだよ、彼女とか勝手に作ったくせにこれ以上振り回すのはやめて欲しい。






「あのなあ、人がどんだけ心配したと思って、」






「……………」







「電話は出ないし、ラインも既読にならないし、家に来てみても誰もいねえし…」








よくそんなことが言えるなって、

彼の話を他人事のように冷静に聞いていた。






彼女と帰ったけどやっぱり私が心配でわざわざ家まで来たとか馬鹿じゃないの。


そうやって今までだってたくさん期待させるだけさせといて何がしたいのか全然わかんないよ。






あんまりにも頭にきた私は






「さっきのは私の好きな人なの、分かったらさっさと帰って」





と偽りの言葉たちを吐き捨てると

衆太を置いてエントランスに入った。












ていうか、

名前も知らないのに勝手に利用してごめんなさいお兄さん…………



< 8 / 13 >

この作品をシェア

pagetop