クリスマスなんてなくなればいいのに。
◇ そうすれば、ぜんぶ、きみに。
「クリスマスなんてなくなればいいのに」
駅前のイルミネーションを眺めながらこぼした。
夏前からわたしについて回る、少しうざったい後輩の前で。
「おれもそう思います」
珍しく意見が合致した。
普段、こいつは人の話を聞かないから、独り言のつもりで呟いたのに。
「なんでわたしがこんなこと言ったかわかってる?」
「わかってあげたいけど、残念ながらわからない」
どこまでも上から目線。
……ちがうな、この場合、彼氏面というのだろうか。
本人にその気があるのかは謎だけれど、素で言っているのなら鳥肌モノだ。勘弁してくれと言いたい。言わないけど。
なにをですか?と首を傾げるこいつの姿が目に浮かぶ。