PRISM « Contract marriage 番外編»
「……っ」


まさか、自分の本当の息子が…、そんかことをするはずはない…と、思いたかった…

が、それ以上に…


「…お兄ちゃん…っ!」

匡の声に、我に返った沙也加…

キッチンの外で、匡が出来上がったケーキを紘一に見せていた…

「…紘一、お母さん、あなたに話があるの。ちょっといい? あとで、部屋に来てくれる?」

と、キッチンの中から、紘一に声をかけた…

冷静に、話し合うにはどうしたらいいか…

話し合う内容を、頭の中で整理しようとしていた…

が。。

「なに? 話なら…ここでしてよ」

と、キッチンの中を覗き込み…、そぅ言った紘一…

沙也加は、紘一の方を振り返った…

その、反応に…やっぱり、この子が…と、思った…

「あなたが…、匡にしていたこと…」

「なに? 別に大したことじゃないだろ?」

「…紘一っ! あなたの弟なのに、どうしてそんな…」

沙也加の言葉に、紘一はほくそ笑みながら…

「…《弟》?
お母さんだって、匡が可哀想だと思って、引き取ってんだろ?
弟じゃないよ! こんな奴!」

「あなたは、なんてことを…」

「お兄ちゃんっ! お母さんと作ったんだ。夕ご飯のあとに食べよ」

と、デコレーションしたばかりのケーキを紘一に見せた…

「……っ」

カンに触るような声…

匡は、紘一の顔を覗き込み…

「誕生日だよ、お兄ちゃん。忘れちゃった?」

こめかみを抑えた紘一…、

頭の奥で、ズキズキと傷みが走った…


「うるさいっ!っるさいっ!
俺は、お前の兄なんかじゃないっ! 消えろっ! いなくなれっ!」



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