PRISM « Contract marriage 番外編»
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その日は、

夏休みになったばかり…というのに、朝から小雨が降っていた…


参列者を前に、終始、泣いてばかりいる匡…

その隣で、無表情のまま…空を見つめる紘一…


『あの子でしょ? ほら、佑一朗さんと浮気相手の…』
『奥さん、引き取って…育ててたって。』
『でも、隣のお兄ちゃんは、涙1つ見せないわね?』

そぅ…、噂話が聞こえる…


結局、紘一が匡を洗脳していた…という話も、有耶無耶になり…、終わった…



2人は、心の拠り所にもなっていたはずの人を、失ったのだ…


紘一は、沙也加の死の原因は、自分が匡と腹違いの兄弟であることだ…と、父親に話し…

父親の佑一朗も、匡からの話で、椎堂家の後継者候補から外れ…、違う場所で生きたい…と、主張した…


ただ、それもまた…

父親や他の人間に、自分が弟を洗脳していた…と、いう事実を詮索されない為に、紘一が匡に取らせていたが…


「イギリスに? 匡がそぅ言ったんですか?」

自分が、これまで努力し得たかったモノを邪魔しようとする存在の弟を排除しようとしていた…が、その弟が、違う場所で生活をすることを望む…とは、思っていなかった…

「あぁ、イギリスに全寮制の学校がある。9月からその学校に行く…」

と、去年、再婚したばかり…の父 佑一朗は、いまは本宅とは別に住居を構え…暮らしている

珍しく、椎堂家の本宅に来て…の話がソレだった…

「お前も、その方がいいだろぅ?」

と、それだけ言うと…、父親はそそくさ…と帰って行った…


母親の沙也加が亡くなり…、この家族は完全にバラバラになっていた…

沙也加の死から…、4年が経っていた…

紘一と匡は、必要以上の会話をしない…
佑一朗は、2人の兄弟と接触を避け…、逃げるように、別に暮らすようになっていた…


佑一朗から、匡がイギリス留学の話を聞いた紘一は、無表情な顔立ちを崩さない…
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