PRISM « Contract marriage 番外編»
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「お前も、出てくのか?」

紘一は、父親から、その話を聞いた後…

匡の部屋へと向かった…

匡は、トランクに自分の荷物を詰めていた…

部屋の入り口付近で聞こえた…その声に、匡は、手を止め…その声がした方に顔を向ける…

「…紘一さん…」

沙也加の死から…、匡は、紘一のことを『兄』と、呼ばなくなった…

「…お前も、この家から逃げるのか?」

そぅ、威圧的な声に…、逆らうことはできない…

「僕が…いない方が…。いいでしょ?」

それは、まだ13歳になったばかり…の匡が出した結論だった…

自分が、遠くに行った方が、紘一と父親は以前のような関係に戻るのでは…という…

…が…

紘一にとっては、余計なコトだった…

今更、父親との関係を修復しようという意思も気持ちもなかった…

匡が、この家からいなくなった所で、それは何も変わらない…と。。


紘一は、匡の言葉に、軽く舌打ちを打ち…匡に近づき…

その顎先を引き寄せる…


「覚えとけよ。母さんを殺したのは…俺とお前なんだからな…
一生、消えないんだからな…
何処に、行こうと…。何処に、逃げようと…。
お前が、誰かと幸せになる…なんてこと、赦さないからな…!」

そぅ…、緊迫感を帯びた声で、言われ…逆らえるはずはなかった…


幼い頃から、繰り返し…繰り返し…、洗脳を受けてきた…。

今更、それを拒否することなど…出来ようがなかった…

「…分かってる…」

小さく…、そぅ呟くように言った…

紘一は、匡から離れ…、すぐ様、部屋を出ていった…


匡は、紘一から少しでも…離れたかった…

それしか…、自分が生きる場所はない…と、思えてならなかった…

兄と離れ…、少しでも自分を取り戻す…、生きる場所を見つけたかった…



そして。。
逃げるように、別々の道…を、歩いて行った…────

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