PRISM « Contract marriage 番外編»

3

「…結婚…っ？ 本気ですか？」


突然…、兄の紘一から報告を受けた…

5年後。。
紘一は、父親の佑一朗の会社の傘下の会社の社長となっていた…


匡は…と、言うと…大学の経済学部を卒業した…が、父親の会社を就職するのを拒否し、椎堂家の執事をし、紘一のサポートをしていた。
(ほぼ、紘一の意向も加味されているが。。)


「…あぁ、来週…」

兄の紘一は、スーツのネクタイを緩めながら…無表情にそぅ答えた…

「…突然ですね？」

「お前、迎えに行ってくれるか？ 明日…」

「…明日っ！」

紘一の言葉に、匡はド肝を抜かれた…

来週…結婚する…と、言う言葉にも驚き…だが、明日、その結婚相手を迎えに行け…と言う…

声を荒らげた匡に、紘一は、何故驚く？…とでも言いたげな表情をしていた…

「分かりました。」

と、ため息混じりに返事をした匡…


この兄に、結婚を決意させた女性が、どんな人なのか？
興味が湧いたことは、事実だった…

紘一から、渡された住所や氏名…その氏名には、『美崎 悠夏』と書かれあった…


匡は、イギリスから取り寄せた紅茶を入れ、ソファの背もたれに寄りかかりながら…ノートパソコンで調べ物をしている紘一に差し出し、テーブルの上に置いた…

紘一は、目線だけ微かに動き…、また視線を戻した…

その時、紘一の携帯が鳴り…、紘一はその電話に出、話し始める…

「あ、彩乃。どうした？ 今から？ 今日は、ちょっとムリだな。 明日なら…」

「……っ」

来週、結婚する…と、言っていた紘一は、他の女性と電話で話をしている…

通話を切った紘一は、匡の視線に気づき…、その方に視線を向ける…

「なんだ…？」

「…いぇ…、別に…」

ここで、一言でも言葉を発すれば…兄は、烈火のようになるだろう…と、想像はついていた…

「…いぇ、紘一さんのプライベートのことですから」

と、ニッコリと笑ってみせ、その部屋を出ていった…