PRISM « Contract marriage 番外編»

部屋を出ていった匡…

兄の紘一は、以前のように威圧的な態度を示さないことも何度かあった…世間的に一般的な常識を兼ね備えてきた…とも言える。

…が、いつか以前のように戻るのでは…というのが拭いきれない匡は、なるべくなら関わりたくない…というのが正直なところだった…

なるべくなら…、穏やかに過ごしたい…


「……っ」
《相手の女性…、20歳か…

紘一さんの、あの性格を知って…の結婚なのか？


あの人が、他人に心を開く…ようなこと、ないだろうに…


他人を信じることも…、愛情を抱くようなことも……っ》


『愛情のない結婚』…という言葉が匡の脳裏に浮かんだ…


まぁ、それも…自分には、関係のないコトだ…と、思い直そうとした…


例え、その女性にとって、不幸せな結婚だ…としても、自分には関係のないコトだ…と。
言い聞かせるかのように……



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翌日。。

紘一の、言うがまま…に、紘一の結婚相手を迎えに行った匡…

「…美崎 悠夏です。よろしくお願いします」

と、自分に一礼し挨拶をした女性…、にこ…っと笑いかける笑顔に…、紘一が今まで付き合っていた…どの女とも違う…雰囲気があるのに気づいていた…

微かに、止まっていたはずの…凍りついていた心が動き出したような感覚がした…

「存じています…。吉澤です」

兄が…、最終的に選んだのは、こういう人か…と、何となく納得した…


匡は、その兄の結婚相手である悠夏に、興味を持ち始めていた…


匡は、その女性を連れ…、兄のいる椎堂家へと向かう…

相手の紘一について、何も知らされていないのか…聞いてくる悠夏に当たり障りのない返事だけをした…

遅かれ早かれ…、紘一のあの人格を目の当たりにする…可哀想ではあるが、仕方ない…と。