PRISM « Contract marriage 番外編»
「自分で、渡してください…」
と、匡は、突っ返そうとした…
が…
「お前にしか、頼めない…」
その、紘一の言葉に、自分の意志は決まっていた…
匡は、重苦しいため息をつき…、その手紙を自分のスーツの内ポケットにしまった…
「あと、これは…お前に。
もぅ…、自由になっていい…。幼い頃から、俺は、お前を自分の思い通りに…操ってきた…」
「…えっ…?」
「幼いお前に、マインドコントロールを…。自覚…なかったよな?」
紘一の告白に、言葉を失った匡…
「…《マインドコントロール》?」
「お前にしていたのが…、そういうモノだと気づいたのは、小学校…高学年になってからだけど…。
もぅ…、解放する。好きに生きていい…」
そぅ…、いつもの冷静さを失い…、そう言った紘一…
匡は、自然に頬に涙がつたい落ちる…
「お前は、お前の人生を生きろ…。幸せになっていい…」
紘一に、そう言われ…何かのタガが外れたように匡は両手で、顔を覆い泣いていた…
紘一は、腰を上げ…匡が座っているソファまで近づき、その肩に手を置いた…
「悠夏と…、子どもを頼む…」
頭上に聞こえた紘一の声に、匡はその声の方を見上げる…
「悠夏の子ども…、どちらが父親でも、お前なら俺の代わりをやってくれる…」
匡は、それまで不思議に思っていた…
紘一が何故、匡に悠夏との子どもを望んでいたのか…
「どうして、彼女と俺との子どもを…?」
「……っ」
紘一は、一瞬、ためらった…。が、意を決して、自分の本心を…
「いつか…、自分がいなくなる…のであれば、自分が生きていた証を遺したくなった…
が、それと同時に、悠夏は、俺がいなくなったら、生きる屍になりかねない…
子どもがいれば…、ソレも…一時の一瞬だけで済む…
俺は、お前たちに未来を生きて欲しい…」
「……それならば…、俺がいなくても…」
紘一は、匡の言葉に微かに吹き出してみせた…
「俺は、お前にも幸せになって欲しいからだ…
悠夏のことを、一生、傍で見守って…、幸せになって欲しい…」
そう告げ…、部屋を出ていった紘一…
匡は、ソファから腰を上げ…、書斎室の本棚の前まで向かう…
紘一から、預かった悠夏に宛てた手紙…
昔…、兄の紘一に読んでもらったことがある…絵本…
いま、思えば…この絵本の黒いネコは、兄のようだ…
白いネコに、出会い…。。そのネコを失って、大切な人を亡くし、愛情に気づいた…
紘一にとっては、特別な本であることに気づいていた…
「……っ」
その背表紙の最後のページを見た瞬間に、言葉を失った…
と、匡は、突っ返そうとした…
が…
「お前にしか、頼めない…」
その、紘一の言葉に、自分の意志は決まっていた…
匡は、重苦しいため息をつき…、その手紙を自分のスーツの内ポケットにしまった…
「あと、これは…お前に。
もぅ…、自由になっていい…。幼い頃から、俺は、お前を自分の思い通りに…操ってきた…」
「…えっ…?」
「幼いお前に、マインドコントロールを…。自覚…なかったよな?」
紘一の告白に、言葉を失った匡…
「…《マインドコントロール》?」
「お前にしていたのが…、そういうモノだと気づいたのは、小学校…高学年になってからだけど…。
もぅ…、解放する。好きに生きていい…」
そぅ…、いつもの冷静さを失い…、そう言った紘一…
匡は、自然に頬に涙がつたい落ちる…
「お前は、お前の人生を生きろ…。幸せになっていい…」
紘一に、そう言われ…何かのタガが外れたように匡は両手で、顔を覆い泣いていた…
紘一は、腰を上げ…匡が座っているソファまで近づき、その肩に手を置いた…
「悠夏と…、子どもを頼む…」
頭上に聞こえた紘一の声に、匡はその声の方を見上げる…
「悠夏の子ども…、どちらが父親でも、お前なら俺の代わりをやってくれる…」
匡は、それまで不思議に思っていた…
紘一が何故、匡に悠夏との子どもを望んでいたのか…
「どうして、彼女と俺との子どもを…?」
「……っ」
紘一は、一瞬、ためらった…。が、意を決して、自分の本心を…
「いつか…、自分がいなくなる…のであれば、自分が生きていた証を遺したくなった…
が、それと同時に、悠夏は、俺がいなくなったら、生きる屍になりかねない…
子どもがいれば…、ソレも…一時の一瞬だけで済む…
俺は、お前たちに未来を生きて欲しい…」
「……それならば…、俺がいなくても…」
紘一は、匡の言葉に微かに吹き出してみせた…
「俺は、お前にも幸せになって欲しいからだ…
悠夏のことを、一生、傍で見守って…、幸せになって欲しい…」
そう告げ…、部屋を出ていった紘一…
匡は、ソファから腰を上げ…、書斎室の本棚の前まで向かう…
紘一から、預かった悠夏に宛てた手紙…
昔…、兄の紘一に読んでもらったことがある…絵本…
いま、思えば…この絵本の黒いネコは、兄のようだ…
白いネコに、出会い…。。そのネコを失って、大切な人を亡くし、愛情に気づいた…
紘一にとっては、特別な本であることに気づいていた…
「……っ」
その背表紙の最後のページを見た瞬間に、言葉を失った…