PRISM « Contract marriage 番外編»
「じゃ、またね〜、匡くん!」

と、笑顔を見せる信。

その、廊下を歩いていく2人の背中を見つめている沙也加…

寂しそうな…その瞳…


匡は、その沙也加の服の袖をつまみ…

沙也加は、その小さな手に気がついた…

「あ、ごめんね。」

そぅ、匡の頭を優しく撫でる…。。そっと匡の身体を抱き締め…

「私、匡くんのお母さんには適わないかもしれないけど…。あなたのお母さんになれるように頑張るからね?」

そぅ…、優しく…抱き締めてくれた腕は、ホンモノだった…


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その日の夕飯は、沙也加は匡のためにハンバーグを作った…


そして。。

疲れて、寝入ってしまった匡…沙也加は、自分たちの寝室の隣の部屋に、匡用の部屋を作り…その部屋のベッドに匡を寝かせた…


その部屋を、覗きに来た…人物…

「……っ」

そ…っと、静かに寝息を立てている匡の頬に触る…

「…あったかい…柔らかいな…」

そぅ、小さく呟き…。。次第に笑みが零れた…

少しずつ…、胸の中がじわじわと暖かさが広がってっているような感覚がした…

匡の頭を撫でる…


そこに…

「紘一、そこにいたの?」

その、背中から聞こえた声に…、ビクっと肩が上下した…

すぐ様、その声がした方に振り返る…

「…別に…、見に来ただけ…」

紘一の母・沙也加だった…

紘一は、いつもの調子に戻ってしまっていた…

「そう…」

「おやすみなさい。」

そぅ、紘一は、沙也加の隣を通り抜け…自分の部屋へと戻って行く…


沙也加は、眠りについている匡の顔を覗き込む…

憶測かもしれないが…、紘一が匡のことを疎ましく思っていたら…と、不安だった…

その顔を見ても…、何かをされた…という跡は見て取れなかった…

沙也加は、ほっとため息を漏らした…


自分の子どもであるはず…の、紘一は、自分の子どもであるはずなのに…人とは少し違う面を見せる時が度々見受けられた…

他の同級生や、近所の子どもたちに比べ…、育てにくい面がある…とも言える…

何を、伝えよう…としても、その瞳には、大人たちの言葉の裏が見える…かのように思えてならない時が多々あった…
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