PRISM « Contract marriage 番外編»
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「この子が、佑一朗さんの…浮気相手とのっ?」

と、匡が椎堂家に来て…、1週間が過ぎた…

「お母さん…、このこの前で、そんな言い方…」

その日、沙也加の母親が来訪していた…、名目上、匡のことを見に来ていた…とも言える…


沙也加は、ソファに座り…、ジュースを飲んでいた匡のことを気づかいながら、母親をたしなめた…

「で、あなたは、その子を自分の子として育てるの? どこまでお人好しなの?」

と、頭を抱えながら言った母親に…

「お人好しなんかじゃないわ、この子のお母さんは亡くなったし。おじいさまもおばあさまも…高齢だし、佑一朗さんの子どもなら…この家で育てたほうが…って、思っただけよ」

そぅ、自分の隣で、母親が持ってきたケーキを行儀よく食べようとしている匡…、だが慣れないことに手に生クリームがついてしまっていた…

その匡の手に着いたクリームを拭き…

「匡、この方は、私のお母さん。匡にとってはおばあさんになるの」

匡は、その初老の女性を見つめ…、沙也加の言葉に頷き返し…

「こんにちは!」

と、きちんと挨拶をし、頭を下げ、笑顔を見せた…

その、天使のような笑顔に…

「あら、しっかりしてるわね。まだ2歳でしょ?」

「そうなの。きっと、あちらのご家族が大切に育ててきたのよ」

「しかも…、なんというか…紘一とだいぶ違うわね?」

何でも、思ったことをストレートに言う母…

が、沙也加自身もそう思っていた…

「そうなの。紘一は、小さな頃からカンが鋭くて…、この子の年の頃には人の心が分かる…んじゃないのかと思った。
でも、匡くんは、周りを暖かくさせるの…」

「でも、この家の跡取りは、紘一よ? この子は、紘一に何かあった時の…で。
紘一のことを1番に考えなさい。あなたは紘一の母親なんだから…」

「……」

言葉に詰まった沙也加…

その、客間のドア…、閉めてあったはず…であったが、いつの間にか、空いていた…

風の動き…で、そのドアがゆっくり…と、動いた…

「…紘ちゃん…っ?」

その、目の前に座っていた母の声に、沙也加は、肩を上下させた…
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