PRISM « Contract marriage 番外編»
「そうね、辛かった。
お父さんが、お母さんとは別の人を好きになってしまったのには…
でも、仕方ないって思わなきゃね?
匡にも、匡のお母さんにも…なんの罪もないの」

紘一は、沙也加の瞳をまっすぐに見つめ…

「お母さんは、僕が守るから…!
早く大人になるから…、辛かったら、泣いていいよ」

紘一は、傷ついたであろう…沙也加の気持ちを察し…、次第に泣き出していた…

「…紘一…、優しい子ね。お母さんの気持ち、分かってくれるのね?」

そぅ、紘一の身体を抱きしめた沙也加…

「ありがとう、紘一…」


紘一の優しさ…に、安心したように…

抱きしめた紘一の頭を優しく撫でる沙也加…

…が…

このことが切っ掛けで、紘一は、匡を敵視するようになろうとは、予想はしていなかった…


それも…

誰にも、目が触れない所で…

自分と匡との格差や主従関係を植え付けていくことを…、まだ8歳で行っていたとは…


「匡、おいで…」

と、母・沙也加の目を盗み…弟の匡を書斎室へ手招きした…

兄に呼ばれ…、匡は素直に兄の傍に近づいていく…。。何の警戒心もなく…

「匡、今度、お父さんが帰ってきたら…」

…と、まるで…ゲームの提案でもするかのように…少しずつ…少しずつ…洗脳を加えていった…


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