バツイチ彼に告白したら、予想外に溺愛されて困惑しています。
てっきりいつも通り大島さんが来るものだと思っていたので、心の準備ができていない。

作業着の胸に付けられた名札をチラ見すると、
【製作課 紅林真】
と書いてあった。

ほ、本物の紅林さんだ!

私はわたわたと手元の書類をひっつかむ。

「あ、えっと、はい、書類できてます!」

テンパりすぎて言葉までどもってしまう。
先行書類を手渡すと、紅林さんは「ありがとう」と受け取ってさっさと出ていってしまった。

いつも電話で聞いていた声。
あの優しいトーンの生声だ。
だけど表情は堅くて。
ていうかむしろ無表情?無愛想?

真知さんの言っていた“無愛想で取っ付きにくい”っていうのが少しわかった気がした。

でも、それはほんの少し。
それよりも、こんなに若い人だったことに驚きだ。
現場の作業長って、事務仕事の課長と確か役職的には同じだったはず。
図面管理課の課長は五十代に対して、紅林さんは三十代に見える。

しかも、かっこよかった。

私は先ほどの紅林さんとのやり取りを思い出して、ほうっとなった。
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