エタニティ・イエロー
『もしもし、篝です。仕事終わって、今駅前来たんですけれど』
「あっ……はい、近くにいるので、すぐ向かいます」
着信を切ると、私は本の袋をバッグの底に戻して、急ぎ足で駅へ行く。
男の人と二人で会うのは、二年半以上ぶりになる。離婚をしても、男性というだけで恐怖心を覚えて、男友達の誘いを断り続けていたのだ。
しかし、この現状から脱出したい、と思える自分も少なからずいたため、私はこうして、怯えながらも彼の元へと向かっている。
「幸さん、こっちです」
横断歩道を渡った先に篝さんは立っており、私を見つけると大きく手を振ってくる様子に、緊張は全く見えない。