エタニティ・イエロー
第五章 『アジサイ、揺れる』



~幸いより~

「双川涼香《ふたがわ りょうか》です。宜しくお願いします」

 挨拶をしたのは、今日から入るバイト生の双川さん。

 先程の更衣室での話によると、先月務めていた大手のY家具会社を退職し、次の就職先を見つけるまで、一旦バイトをして生活をするらしいのだ。

「でも、勿体無いね。あの会社凄く有名で、お給料も良かっただろうに」

 双川さんの挨拶を終えた朝礼後、隣に立っていた友添さんがボソッと言って、厨房に戻っていく。

 確かに、勿体ないかも。日本では誰もが知っているY家具会社。しかし、辞めたのには理由もあるだろうから、聞きすぎないようにしないと。


< 209 / 434 >

この作品をシェア

pagetop