エタニティ・イエロー



 特急電車はいつも満員で、時刻ギリギリに車両に乗ったため、人は多い。

 それでも最初は手すりのある窓際に入れたものの、もっと後から来た人の勢いで、手すりのない真ん中まで押されてしまった。つり革には手が届かず、いつも良い場所をキープしていたのに。

 まもなく扉はプシューッと音を立てて閉まり、電車は動き出す。

 その際、ぐらついてしまい篝さんの腹部付近に掌が当たった瞬間、私はバッとおかしなくらい大きな反応をしてしまった。

「ごっ……ごめんなさい」

「いや、俺は大丈夫ですよ。つり革届かないなら、掴まってもらっても構いません」

「だい、大丈夫です、私は」


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