夜のしめやかな願い

「だから、ね。
 本心の時もあるって言っただろ?」

途端に、さゆりは胡散臭い顔になる。

宗忠は苦笑した。

「そしてね。
 兄は僕と違って、いつでも不器用で、繊細な人なんだよね」

そっとさゆりに告げた。

彼女の心に届くことを願って。


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