夜のしめやかな願い
軽い栄養失調と、過労が見られるとのことで、点滴を処方される。
昏々と宗臣は眠っており、そのベッドの傍らにさゆりは控えていた。
相変わらず整った顔をしているなあ。
高い鼻梁は思わず抓みたくなる。
そんなことを思っていると、宗臣のまぶたが予兆なく、すうっと上がったのに、さゆりはとまどってから声をかけた。
「気が付いた?」
宗臣の視線が動く。
熱のせいか焦点が揺れている。
「インフルエンザですって。
あと、過労。
点滴をしてもらっているから、それが終わったら帰っていいって」
ため息をついている。