夜のしめやかな願い
宗臣は近づきがたいお兄さん。
宗雅は意地悪なお兄さん。
宗忠は気安い幼馴染。
三兄弟と仲がいいことで、ささいな嫌なことはあっても、さゆりは幸せな毎日を送っていたと思う。
子豚ってからかわれたりしたけれども。
そうやって振り返ると、なぜ宗臣は私に手を出すのかと思う。
予想はつくけど。
「オミ、なんで?」
くちびるが離れたのに問いかける。
伏せ気味だったまつげが上がって、淡い瞳に自分の丸い鼻が写っているのが見える。
さゆりの肌を滑っていた手が止まる。
「何が?」
事の最中だというのに、全くその熱が感じられない。